スパイダーマンになれるぞ~
前回の続きです。危ないよ、隣のおばさん……。こんなとき声かけないでしょ、ふつう!
でも、ひさしぶりに顔を合わせたので屋根から愛想をふりまきます。
「はぃ……おばさんもお元気そうで……」
近所の人と挨拶をするのはこんなときか、高い木に登っているときばかり。相手からすればよく見えるからかもしれないけど、タイミング見て声かけてよ~。
ふたたび瓦屋根をのぼる私。すると、行く手をさえぎるテレビのアンテナ。
迂回すると、さらに急斜面。夏の太陽に焼かれた瓦はむきだしの素肌でさわると、やけどしそうです。これぞ、断熱効果。
足がふるえ、呼吸が乱れます。ようやく、頂上に到着。
瓦を突き破って、50センチものペンペン草が2本生えていました。昔の家なので瓦の下は土です。
おそらく、先に瓦にヒビが入り、そこから鳥が運んだ種が入ったのでしょう。草を抜いてビニール袋に入れ、下に投げ落としました。
次は補修。屋根から降りて、モルタルをこね、割れた瓦の代用にするのです。
2度目に屋根にのぼるときは「這いつくばりかた」もうまく心得て、素早く移動できるようになっていたのが不思議です。
明日スパイダーマンになっても、だいじょうぶかもしれません。
それにしても、これからもこんなことでずっと登り続けるのか、それとも新築にするのか。でも、費用は?
私が屋根の上でいろんな未来をイメージして悩んでいると、猛暑に狂ったようなセミが瓦に突進して、豪快に落ちていきました。
おしまい。